なんとなく集めていたダムカードですが、「ダム大百科」を購入し少しだけ勉強したことで見方がわかってきました。その知識があった上でダムを見ていくと段々とダム自体の役割や構造、周辺の地形や設備など少しずつ理解できた気がします。
今回は集める前に知っておきたかったダムカードの見方について解説します。(まだまだ素人ですが…)
目次
この記事の目次
ダムカードとは?
国土交通省のサイトによると
国土交通省と独立行政法人水資源機構の管理するダムでは、ダムのことをより知っていただこうと、平成19年より「ダムカード」を作成し、ダムを訪問した方に配布しています。
国土交通省のサイトより
カードの大きさや掲載する情報項目などは、全国で統一したものにしており、おもて面はダムの写真、うら面はダムの形式や貯水池の容量・ダムを建設したときの技術、といった基本的な情報からちょっとマニアックな情報までを凝縮して載せています。
カードは、国土交通省と水資源機構の管理するダムのほか、一部の都道府県や発電事業者の管理するダムで作成し、ダムの管理事務所やその周辺施設で配布しています。
公式・非公式あわせると約800種類もあるんだとか(!!)。そもそも日本にそんなにダムがあることに驚きです。
※実際のダムの数はそれ以上にあるそうです。
ダムカードはどこでもらえるの?
ダムを管理しているのは国土交通省だったり県だったりとまちまちですが、ほとんどの場合はダムに隣接している管理事務所で配布している場合が多いです。
ダムカードをもらうまでの代表的な管理事務所での流れは
正面入口でインターホンを押す
↓
ダムカードください、という
↓
事務員さん登場、「どこから来たの?」or どこから来たか記入
↓
ダムカードゲット!
事務員さんは一人しか無い場合も多いようで、訪問するタイミングによってはいない場合もたまにあります。
大抵の管理事務所は土日でも配布していますが、一部の管理事務所や管理事務所に代わって近隣の公民館などの施設で配布している場合は土日は配布しておらず平日のみの配布の場合もあります。
また、コロナの状況により配布を中止している場合もあるので、かならず県のホームページで事前に確認して訪問するようにしましょう。
(「〇〇県 ダムカード」 みたいなワードで検索すると大体は県のホームページがヒットします。)
また、平日のみの配布の場合、現地へ行った証拠を提出することで郵送でも対応してくれる場合があります。中には非公式で独自カードを配布しているダムもあり、これはこれで面白いですね、
こちらの「ダムこれ!」のサイトで県別の一覧が見ることができ、とても便利です。(とは言え最新の配布情報は必ずオフィシャルサイトで配布情報は確認しておきましょう。)
ダムカードの見方(表面)
ここからはもらえるダムカードの見方です。
- ダム名…ダムの名前。初見で読めない名前が多いのでルビ入りが嬉しい。
- バージョン…更新された回数。Ver.3.0なら現在3代目のカード、という場合が多い
- A.ダムの目的…目的によってアルファベットの頭文字が並ぶ。後述
- B.ダムの構造…ダムの作りによって記載されるアルファベットが異なる。後述。
A.ダムの目的について
ダムには水道用水以外にも様々な役割があり、ダムカードの右上にはそのダムの役割をアルファベットの頭文字で記載されています。はじめはこのアルファベット、何のことやらわかりませんでしたが最近は意識するようになってきました。
頭文字 | 役割 | 概要 | |
治水 | F | 洪水調節 | 洪水の際の流量の調整を行い下流を洪水から守る機能 |
治水 | N | 不特定利水・河川維持用水 | 川の水が少ない際に放水し川の流量を保つ役割 |
利水 | A | かんがい用水 | 農地に水を供給する農業用水の役割 |
利水 | W | 上水道用水 | 生活用の水を貯める水道用水の役割 |
利水 | I | 工場用水 | 工場用の水を貯める工場用水の役割 |
発電 | P | 発電 | 水の落ちる力を利用し発電する役割 |
下流に工場があれば「I」が入っていたり、また「P」が入ったダムのふもとには大抵発電所があります。
また、多くのダムは複数の役割を持っているためダムカードには複数のアルファベットが並ぶことが多いです。
B.ダムの構造について
ダムカード右下に記載されているのがダムの構造で、こちらもアルファベットの頭文字で示されています。
(最初に行ったのはアーチダムのAだったので、てっきりレアリティかと思ったのは内緒)
バラエティに富んだダムの外見に関わる部分で歴史も深く、ここでは多くは解説できませんがまぁ見た目で違うので、慣れたらこのアルファベットを見ずともダムを見ればわかるようになると思います。
頭文字 | 構造名 | 概要 |
G | 重力式コンクリートダム | コンクリートの重さで水をせき止めているダム。 ダムカード配布している日本の大体のダムがこのタイプ。 GはGravityのGでしょう。 |
A | アーチ式コンクリートダム | アーチ型のコンクリートダムでデカいダムに多いそうな。 AはArchのA。 |
E | アースダム | 土を積み上げて作られた原始的なダム。EはEarthのE。 小規模なダムが多くダムカードを配布していない ダムが多い印象。 |
R | ロックフィルダム | アースダムに岩を積み上げて作られた進化系。RはRockのR |
B | バットレスダム | 橋の脚のように柱を立て、そこに鉄筋コンクリートを 立てかける形式のダム。日本に6基しか現存せず超レア。 |
MB | 可動堰 | ダムではなく堰の場合は大抵コレ。 |
他にも「HG」中空重力式コンクリートダム、「GA」重力式アーチダム、などがあるそうです。
どのタイプも一度見たら分かるくらい違いがあるので、ここがダムの魅力的なポイントの一つでもあります。
ダムカードの見方(裏面)
ダムカードの裏面にはそのダムの詳細なスペックが記載されています。
所在地・河川名・形式
こちらは見たままですね。
ゲート
ダムカードによってフォーマットがまちまちなので、最も理解しづらい部部分だと思います。
クレストゲート | ダム上部にあるゲートで洪水用の非常時に放水されるゲート。 (非常用洪水吐として利用) |
オリフィスゲート | ダムの真ん中くらいに設置されるゲート。 洪水調節としても常用の洪水吐としても使用される。 |
コンジットゲート | ダム下部にあるゲートで常用の放水に利用される事が多い。 (常用洪水吐として利用) |
ダムカードによってはクレストゲートだったり、常用洪水吐と書いてあったり。
また、ゲート自体にも様々な種類があり
ラジアルゲート (テンダーゲート) | ゲートが半円になっており、それが回転することによって開閉する構造のゲート |
ローラーゲート | 扉の両側にローラがあり、それを上げ下げすることで開閉する構造のゲート |
例えば、土師ダムはクレストゲートにラジアルゲートが3門装備されています。
土師ダムの場合はオリフィスゲートもラジアルゲートですが、こちらは写真からはわかりにくいですね。
ローラーゲートはいかにも板を引き上げ出来そうな見た目なのでわかりやすいですね。
代表的なのはこの2種で、他にも種類はあるそうです。
堤高・堤頂長
堤高…基礎地盤から天端までの高さ
ざっくりダムの高さだと思ってもらって構いません。ここが大きければその分大きいダムですね。
最初に訪問した温井ダムは156mで、アーチ式のダムとしては国内2位の高さだそう。天端から下を見下ろした際に恐怖を覚えましたが、今思うと相当な高さだったわけだ…
堤頂長…ダム堤頂部の右岸から左岸までの距離
天端が通れる場合は、その長さが堤頂長に近い長さです。ここも大きいほど大きなダムとなります。
弥栄ダムは堤頂長が540mもあるダムで、端まで歩こうという気にならず横着にもバイクで移動しました。
ちなみに国内最大は1780mというダムがあるそう。長ぇ…
総貯水容量
総貯水容量…ダムによって貯めることができる理論上最大の貯水量
隣接するダム湖の貯水量によるものが大きいとは思います。
広島県で訪問した中ではダントツで弥栄ダム隣の弥栄湖が大きく、弥栄ダムの総貯水容量は1億1,200万㎥となっていました。
国内には総貯水容量6億超えもあるそうで想像がつきませんね…
管理者
ダムカードを発行しているダムの多くは「国土交通省」管轄、もしくは県など「地方自治体」が管理しているパターンが多いです。県境にあるダムの場合は2つの県で管理している場合もあります。
また非公式カードでは農林水産省のパターンも有りました。
本体着工/完成年
これは読んだままのとおりです。大体が着工から2〜10年で完成しており、かかる日数は概ねダムの規模によって変わる模様。このダムの規模でこれだけかかっているのは何かあったのか…と思わせる物件には今の所出会ってませんが、きっとあるんでしょうね。ここから歴史に思いをはせるのもアリかもしれません。
ランダム情報・こだわり技術
ダムそのものの情報から地域情報までダムによって書かれている内容がまちまちですが、色々書きたいことある中で、でも僅かなスペースで無理やり一個ピックアップしているのでこうなるんでしょうね。どのダムももっと言いたいのは伝わってくるので、コレをきっかけに色々調べてみましょう。
以上、ダムカードの見方でした。私もダムカードがなければダムについてこんなに調べることもなかっただろうなーと思うくらい良いきっかけになったカードなので、ぜひ皆様もダムカードからダムについて色々知ってもらえればと思います。
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