ある朝。起きたら右耳が聞こえなくなっていました。いわゆる突発性難聴の発症から回復の記録です。
最初に言ってきますが、一つアドバイスできることは「疑わしくは1秒でも早く病院へ!」は真実です。
私の場合は軽症で済んだため、後遺症も「ほぼ」残っていないんのですが、医学的になにか知識あるわけでもなんでもないただの一般人なので、体験談として参考にしてもらえれば。
この記事の目次
突発性難聴、発症の朝
2021年の1月。
コロナの影響もありますが、例年この時期は閑散期と言われヒマな時期。
仕事もさして忙しくなく、ストレスを感じる要素もここ最近は少ない。
(少なくともストレスが過度に掛かっている、と自覚している状態ではなかった)
強いて言えば。
前日いつも偏頭痛で痛くなる「左のこめかみ」部分ではなく、珍しく右の通常とは違う部分に軽い頭痛を感じており、大寒波が来ているたため「また気圧の影響か?」くらいに思っていました。
当日朝。起きてすぐ気がつく異変。
「右の耳が聞こえない…!?」
後ほど判明するのですが正確には「高音部が聞こえにくくなっていた」のですが、「聞こえない!」と錯覚してしまうくらい、音をシャットダウンされているかのような強烈な違和感で朝の始まりを迎えました。
以前、中耳炎になった時に「耳の奥に何かが詰まった感じ」で聞こえにくくなった経験はありますが、それとは全く違う「聞こえない」感覚。
即座に「コレもしや噂のアレ?」そう、よくアーティストがかかる印象がある「突発性難聴」ってやつです。
まさか自分が…なにか別のものでは…ほっときゃ治るかな…
と色々考えましたが、以前知り合いがかかっており、その際に少し調べたとき得た情報「発症48時間が勝負」というワードを耳にしたことがあったので、午前中の会議をキャンセルして病院へ向かいました。
たまたまこの冬一番の大寒波が来ており、広島市では珍しくうっすら雪が積もっており、とても車で外に出れる状態ではなかったため、近くに耳鼻科がいくつかある駅前でホントに良かった…
もし車でないと病院へ行けない地域に住んでいたらこの日は行かなかったかもしれません。
それを今思うと少しゾッとします。
最寄りの小さな耳鼻科へ
Google Mapで「近くの耳鼻科」で検索し、一番近かった家から徒歩10分程度の耳鼻科に開店直後にかけこみました。
割と小綺麗な街の小さな耳鼻科です。
車が使えないので、ここ以外に選択肢がない…
入り口で「新規完全予約制」の看板。現地で初めて予約しなきゃいけなかったことを知り、一瞬だけ躊躇しましたが、だからと言って引き返せる状態でもないので「いや知らねぇよ」と勝手に少し怒りを感じつつ、構わず飛び込みました。(病院の皆さんごめんなさい)
実は前述の「中耳炎」にかかったときに通院していた病院らしく(すっかり失念してた)、新規では無かったらしく無事診察を受けることが出来ました。(そうじゃなくても受けれそうな雰囲気でしたが)
待ってる間、突発性難聴に関して調べてみるとガチの治療には何やら「カプセル」やら「鍼治療」やら色々な治療法があるらしく、下手すりゃ1週間入院とかも全然あるっぽい。とてもそんな設備を構えた耳鼻科には見えない…大丈夫だろうか…もっと良いとこ探したほうが良かったかな…と調べれば調べるほど不安にかられるものの、こんな雪の日に病院に来る人も少ないらしくすぐに診察の順番が来ました。
診察にて
まず聞かれたのが
- 両耳かどうか
- 発症時間
時間は正確にはわからないので「朝起きたら右耳だけ聞こえない」と返答。
次に右耳の中を調べます。耳鼻科ほとんど来たことがないので通常どんな検査をするのか知りませんが、ガチの検査ではなく簡単な器具で耳の中を覗き込むような、あくまでライトな痛くない検査です。そしていくつか質問に答える中でわかったことは、「耳が聞こえない原因」としてよくあるものが
- 耳垢がたまって聞こえにくくなっている
- 中耳炎などで水や膿などが溜まっており聞こえにくくなっている
- ヘッドフォンや工事現場など、爆音を聞く環境にあり、鼓膜を物理的に損傷している
この辺りが多いみたいで、その判定をしているようでした。
(耳垢と知らずに来る人結構多いみたいです…)
また、「めまい」「耳鳴り」の症状も聞かれ、この症状があると「メニエール病」の可能性もあるそうです。
私の場合は右耳が聞こえない、というだけで「めまい」「耳鳴り」は症状としては皆無です。
ググったら他にも色々な病気がありそうですが、ほんとに難聴なのか?その場合どれに当たるか?を判定している感じでした。
そして聴力検査
じゃあ実際どれくらい聞こえてないの?を計測するために聴力検査へ。
聴力検査は2種類
- 気導検査
- 骨導検査
最初の「気導検査」は健康診断とかでも実施する、ヘッドフォン装着して音聞こえたらボタン押す、というやつ。
やってみて思ったより右耳意外と聞こえとるやん…という事がわかりました。
こんだけ違和感あるのに正常です、って判定されたらどうしよ…と逆に不安に。
二番目の「骨導検査」はいわゆる骨伝導スピーカー(つけたことないのでおそらく、だけど)を装着して聞こえを測定する検査。看護師さんいわく「中耳以降のきこえを測定」するらしいけど正直よくわかりません。
ただ、こちらは左右違いなく「よく聞こえてる!」のは体感的にわかりました。
診察の結果−治療方針の決定
聴力検査の結果をもとに再び診察室へ。
結果は「軽度の突発性難聴」という結果とともに、この検査結果を見せてもらいました。
どうも右耳の「高音部」が全く聞こえてない様子。
左右の耳での比較。赤いラインより下が難聴、というラインみたいです。通常時の右耳がどれくらい聞こえているか測定してないのでなんとも言えませんが、左右で比較すると4000Hz以上の音が全くカットされていることがわかります。違和感半端ないわけだ。
この突発性難聴は原因がよくわかってないため治療法が確立されていないものの、症状に重さによっていくつか対処法がある様子でした。時間とともに症状が良くなる可能性もあるため、今日は「血流促進剤」「ビタミン剤」を処方してもらい、明日経過を見させてください、ということで病院を後にしました。
ちなみに聞こえにくい、という以外はめまい・吐き気などの症状もなかったので、その日はテレワークで普通に仕事をしました。
診療2日目
薬をバッチリ飲んで2日目の診療に向かいました。
体感的にも昨日より聞こえている、そんな気はします。
ただしこれが「慣れ」で人はこうやって感覚を失いつつ生きていくのでは…と考えると少し怖い気がします。
病院につくと、昨日とうって変わって駐車場は満車。土曜日ですがめっちゃ人が多くソーシャルディスタンスもあって病院が満員状態で結構待ちました…
2日目は聴力検査からスタートし、その後に診断。その2日目の聴力検査の結果。
今日は右耳だけの結果。赤丸が昨日の結果ですね。少し良くなってる!?と安心しました。
多少の改善は見られるものの、このまま改善しない可能性もあるため「ステロイド」を追加することを決定。(ステロイドで胃が荒れる可能性が高いので胃腸薬も同時に)飲み薬でステロイドって初めてなのでちょっと怖い…お医者さんいわく、この時点で全く改善していない場合は
「内耳注射」「高圧酸素治療」なるもっと高度な治療法があるらしく、その場合は「設備がある他院へ紹介」「入院」などの方法もパターンとしては視野に入れていたそう。
そうならなかったことに感謝すべきか…
ちなみにステロイドの飲み薬は副作用も多く過去「肝炎」に関わった人だと問題がある様子。その判定のため「血液検査」を追加で実施しました。ただし対象は人口の1%にも満たず、その場合でも副作用が出ないこともあるためそれよりかは「1分でも早く薬を飲んでもらった方が回復の可能性が高い」ために血液検査の結果、まずいことが判明した場合は後ほど連絡します、次は一週間後に来てください、とのことで今日は病院を後にしました。
ちなみにステロイドの飲み薬は初めの3日間は「朝4錠、昼2錠、夜2錠」で4日目以降は徐々に減らして体になれさせるタイプの割とガチなやつ。副作用は色々あるみたいですが、私の場合明らかに動悸が感じられたため、怖くて日課の筋トレはこの期間中お休みしました…
あと飲み合わせが怖いそうで、薬局でこれまでスルーしてきたお薬手帳を無理やり作らされました。
一週間後
発症から7日後に再び通院。
聴力検査の結果。2日目では一部難聴ラインを下回っていた音域も見事に回復。
これで一応難聴エリアからは開放されたようです。良かった。
ただし左耳は高音域がもう少し聞こえているため、比較した結果まだ良くなる可能性はあるよね、ということで薬の量は減らしつつももう一週間様子見ることにしました。
ただ発症前の聴力の結果は誰もしらないんでなんとも言えないんですけどね…
まだ少し違和感がある気がしますが、ここはもう治らないのかも…
発症から回復まれの体験談は以上です。
かかってわかった48時間以内、の重要さ
芸能人がかかった、などの事例でよく聞くようにこの突発性難聴、大変苦しんだ例もあれば、頬っておいてもあっさり治癒してしまった、という例もネットで検索する限りではあるみたいですね。ただし詳しい発症の原因など、はっきりしたことはわからない難しい病気です。
わかっていることは
- 聴力が回復しない可能性がある
- 治療が早ければ早いほど聴力が回復するする可能性が高くなる
お医者様からすると「タイムリミットがある」「治癒しない可能性がある」のであれば、時間が早ければ早いほど対応を練る時間が与えられます。
明確な根拠があるかどうかわかりませんが、一般的に言われる「発症48時間」というのは割と重要で、逆に言うと「48時間以内は経過を見ながら治療方針を決める猶予がある時間」と捉えているのではないでしょうか。
もちろん、はじめの診療段階で症状が重く、重度の難聴でめまいや他の症状もある、などであれば迷わず設備のある他病院への紹介状、という形をとっていたに違いないでしょう。
2日目の話からも、簡単にその予測ができます。
もしも発症から数日など時間が経っていた場合で、自然治癒の可能性が下がっている場合も、可能性に賭けて即座に考えうるフルの治療方法をとったことでしょう。
私の場合は即座に病院に行ったため、一日とはいえ経過を見ながら治療方針を決めることが出来た、というのは時間的にも精神的にも金銭的にも負担が少ない手段を選ぶことが出来たと考えて差し支えありません。
発症したら、たとえ突発性難聴かどうか自信がなかったとしても、可能性が1%でもある限りは「即座に」耳鼻科に行きましょう。タイミングを失ったら一生聞こえない可能性もあります。自己診断はせず、プロに任せましょう。
設備があるかどうかわからない耳鼻科でも構いません。おそらく突発性難聴かどうかの判定はできるでしょうし、薬で治療の場合は処方することも出来ます。とにかく即座に最寄りの耳鼻科へ行きましょう。それが最善の策です。